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鹿児島〜伊勢1泊2日

※文中の()内の数字記号は昭文社刊ツーリングマップル(2000-2001年度版)のページ/エリア番号です。

2000年8月5日

天理〜名阪国道〜伊勢道へ

峠道

松原jctより西名阪道へ入り、料金所で400円也を支払う。藤井寺、柏原をすぎ、奈良県へ。法隆寺は高校の修学旅行で来たっけ。

(関西P.53/1A)

郡山をすぎ、終点の天理。ここで300円也、近畿道からのトータルはちょうど1,000円になった。さて、ここからは伊勢道まで下道の名阪国道だ。下道と言ってもインターで出入りする自動車専用道で125cc以下やタンデムは禁止、言うなれば無料の準高速道か。一部狭いところもあるが全体に広く整備され、走りやすい。ただし制限速度は60・・でもみんな100以上ですっ飛んでいるのだけど。

(事情通によれば三菱GTOの高速パトカーが数台、ひそかに待機しているらしい)

山間部をのぼり、坂の途中の高峯PAで休憩。すでに12時をまわっているが、まだお腹は減ってこない。とりあえず水分補給し、木陰で小休止。何人かのドライバーが私のバイクの鹿児島ナンバーに気付き、大荷物を指さして何やら語っている。

(関西P.47/6E)

名阪国道は大阪〜名古屋間の実質的な高速連絡道路で、その多くは100前後で走行している。こちらはバイクであるが、やはり流れに乗って走らなければ危険でもあり、そこそこのスピードで距離をこなしてゆく。ところが中には”速度60厳守”な車も少なからずおり、その速度差は50以上にも達する。居眠りはおろか、風景を堪能している余裕などない。常に周囲にセンサーをはりめぐらし、身の安全を確保するのに全神経を集中させる。これはいままでの高速道より疲れる作業だ。のちにキャンプ場に到着したさい、鹿児島〜伊勢でもっとも難儀した”難所”はどこかと訊かれ、私は「名阪国道だった」と即答したのだった。

五月橋をすぎ、最後の県境をこえ、三重県へ突入。時計は午後1時をさしている。伊賀で食事休憩、おにぎりを頬張る。ガスはまだ余裕があるので、給油は伊勢道の安濃SAでする事に。伊勢道の入り口、関jctまで残り10数キロ、トンネルや坂の多い名阪を駆け抜ける。あの山のむこうには伊勢湾が光っているのだろう。ずいぶん遠くまで来たもんだ・・

(関西P.40/5E〜)

伊勢道〜高速終点・伊勢

関jctからの入り口は、今まで走ってきた中ではもっともわかりにくく、ヒヤッとした道どりだった。危うく名古屋方面に行ってしまうところだった。jctのカーブにそってゆったり右にバイクを傾け、最後の自動車道、伊勢道へ進入する。入ってまず感じたのは、”海が近いなぁ”という事。関辺りならまだ海岸線には遠いし、特に風景が南方風というわけでもないのだけど、何かしら空気が海辺の匂いを含んで流れているようで、目的地が近くなっている印象をより深めてくれた。芸濃をすぎ、安濃SAで最後の給油。時刻は午後2時前。

(関西P.49/1B)

この調子なら予定通り3時くらいに着けるかもしれない。はやる気持ちをおさえて、最後の高速走行を堪能する。途中対面通行部分がいくつかあったが、この伊勢道もまだ完成してまもないのだろうか。路面は奇麗に整備され、交通量も宮崎道ばりに少ない。でも、所々道路の継ぎ目に草が生えているのが気になる。

勢和多気、玉城、伊勢西とすぎ、いよいよ終点・伊勢インター。料金所で鹿児島から来た、というと、ニコーっと笑顔を返された。

(私はもっと「ええ〜っ!」と驚いた顔が見たいんだけどなぁ)

おじさんに伊勢近辺の地図をもらい、軽く会釈して、インターを降りた。約1千キロぶりの、ホンモノの下道だ!

(関西P.55/4G)


おかげ横丁から山道へ

原付おばさん

伊勢インターを降りて、信号を右に曲がると伊勢神宮の方向になる。目的地の丸山キャンプ場はここから山をひとつ越えた五ヶ所湾ぞいにある。伊勢神宮そばのおかげ横丁の近くで時間待ちをしていたバスの運転手さんに道を尋ねると、ここからまっすぐ県道12号を行けば、道は狭いがバイクならすぐだよ、との事。マップルで見ても、多少道がうねってはいるが、”谷筋で展望はないが紅葉時は見事”などと書かれており、観光ルートなら抜けやすいだろうと思い、この道を通って海側に出る事に。

(関西P.55/5G)

最初は1.5車線といった感じで、路肩には釣りを楽しむ家族連れの車も何台か停まっている。道は少々うねるが、苦にはならない。時間はあるのだし、谷筋の小径をゆっくりと走る。ところが、だんだん道が険しくなってきた。標高もかなり上がっている。小砂利の浮いたカーブも急で、ほとんどUターン状態。走るのがきつい。

まるでオフ車感覚で山道と格闘しているさなか、メータ直下の”TEMP”サインが赤く点灯した。これは水温が上昇しすぎている知らせだ。高速道路を連続走行したあと、こんな山道で低速高負荷をあたえていれば無理もないが、なんとかだましだまし走らせるしかない。この標高と傾斜でエンジンを止めたら、カブらせずに再始動させるのはむつかしい。

海岸線に出た

やっとこ頂上とおぼしき峠を越え、下りに入る。エンジンはアイドルのまま、ニュートラルで坂を下る。しばらくするとTEMPが消灯し、ひと安心。しかし海に向かっているはずなのに、青い海がまったく見えないのはどういうわけか。まさかとは思うが、途中でコースを外れたか、それともあの運転手がいい加減な入り口を教えていたとか・・イヤな考えばかり頭に浮かぶ。

しばらくするとキャンプ場か展望台らしき施設が右手に見えた。下の方を見ると民家が見えはじめている。もうすこし下って、地元の人に訊くか、地図で再確認しよう・・そう考えていると、何やらなつかしい香りが漂っているのに気付いた。伊勢道に入った直後感じた、海の匂いだ。

海が近い!道もやや平坦になってきて、すこしペースを上げる。周囲はいつのまにか家が多く、幅の大きくなった谷筋の川には船も見える。そして時刻は午後3時すぎ、ようやく海岸線のR260に出る事が出来た。

(関西P.62/2G)

R260を東に進み、五カ所湾ぞいに右に折れ、細い道を走る。途中入り組んだ県道にコースミスしながら、信号待ちで一緒になったZZ−R400のライダーといっしょにキャンプ場を目指す。彼は少し先のいそやキャンプ場が目当てらしい。しかし、工事現場やら別荘の分譲地ばっかりで、どうもそれらしい施設が見あたらない。道はさらにうねり曲がり、時間だけが刻々と過ぎていく。直前はダンプが道一杯に走り、ペースも上げられない。イライラがつのるが、もうすぐみんなに会える事を思うと、何か余裕のようなものが湧いてくる。何十回目かのカーブを曲がり、ふと右を見ると・・

土手の上に、白や黄色の派手なバイクがたくさん並んでいた。それがほぼすべてBanditであるのに気付くまですこしかかったろうか。そして右手に「丸山キャンプ場」の木の看板が!

着いた!

右ウインカー、ブレーキ、シフトダウン。ZZ−Rの彼に手を振るのを忘れてしまったが、このさい勘弁してくれ。中に入っていくと、すでにテントはいくつか立てられて、みんながこっちに向かって手を振り、歓声をあげてくれている。

ああ、これでやっと固いロードブーツから足を出せるなぁ・・エンジンを止めたら、その事ばかりが頭の中を回っていた。

バンディットたち