HOME

R267、端から端まで

※文中の()内の数字は、昭文社刊ツーリングマップル(2000-2001年度版)のページ/エリア番号です。

2004年5月10日

薩摩郡・鶴田町

宮之城名物の太鼓

宮之城町の市街地を離れるにつれ、道筋はやや狭く、アップダウンも多くなってくる。鶴田町は九州で第2位の規模を誇る鶴田ダムがあるので有名だが、これは国道からさらに山間部に数キロメートルほども入り込まなくては見る事が出来ない。ツーリングマップルでは県道404号の方に「おすすめ」ラインが引いてあるが、正直狭くて工事箇所も年中多い。ダムに向かうなら少し手前の湯田八幡下交差点か、鶴田小学校の入り口当たりから左に入って県道399〜397を利用するのをお薦めする。入り口あたりには清潔な温泉施設の宮之城温泉もあって、眺めのいい湯船でゆっくり出来るだろう。

(九州:P68/D-2「湯田八幡下」)

この鶴田町では5月から6月の初夏に川面のホタルを楽しむ観光船を就航させている。毎年全国からの予約でいっぱいになるほどで、作者はまだ乗ってみた事はないが、機会があったら浴衣に缶ビール片手で楽しんでみたいものだ。しかし少なくとも昭和の頃はホタルなどちょっと山手の方に行けばどこにでもいっぱいいたし、民家の生け垣一面にとまったホタルでぼうっと光る壁のように見えた事もあった。親水公園とか護岸工事と称して、大して水量もないような小川の川底までコンクリでベッタリ固めるような無茶な土木工事を連発していれば、そりゃホタルが減るのも無理はないなと思う。自然のままの川を大事に思うなら、服が汚れないようコンクリの階段をこしらえる事が川と親しむ最良の方法ではない事に早く気付いていただきたいものだ。

薩摩郡・薩摩町から大口市へ

薩摩町に入る

鶴田城跡という碑を左に見て低い峠を越すと、国道の速度制限がはずれて中央線も白い破線になる。ここから薩摩町となり、元気のいいクルマが一気に追い越しをかけてくる場所。ただし周囲の田畑からの見通しもよく、どこにパトカーが隠れているかしれないから、それなりの用心は必要だろう。

(九州:P68/E-2)

正直なところ、このあたりは本当に何もない。まさに田舎の道で、やや南の方に観音滝公園というテーマパークのような施設があるのだが、はたして流行っているのかどうか・・。

この薩摩町からR267は標高がやや高くなってくる。この先の大口市は「鹿児島の北海道」とも呼ばれる(地元TV局のアナウンサーもごく当たり前に言い放つ)くらい冬場の気温が低くなるので有名。どうかするとマイナス7,8度近くになる事もあるから、鹿児島県としてはかなり寒い。作者は大口市で暮らした事はないが、海岸線にある川内や阿久根あたりとは気候もかなり違っていると聞く。といって逆に夏場は涼しいかというと、特にそういうわけでもないようだが・・。

大口市街に入る手前には東洋のナイアガラ(なんかこういうのが多いなァ)と異名をとる「曽木の滝」がある。1,2年前まではちょっと入り口がわかりにくかったのだが、農道が整備されてR267側からはほぼまっすぐ入れるようになった。このへんは当サイトの「曽木の滝発電所遺構」にもちょっと書いたが、なかなか見応えのある滝だと思う。ところで最近某オシャレ系のバイク雑誌にこの曽木の滝にある発電所跡がカラーで特集されていたのには驚いた。なんでこんなマイナーな場所にわざわざ・・まさか雑誌記者がうちのサイトを見て思いついたわけでもなかろうが、あの誌面の写真はかなり作ってあると思うので、もし来られるつもりでいる方はあまり期待しすぎない事だ。うちに載せている写真の方が展望台からの観望にずっと近い。


大口市街

大口駅の跡地

大口市街地の手前になると周囲からのクルマの流入も多く、今までの速いペースからすると軽い渋滞に遭う事が多く、ストレスもたまりがちになる。

(九州:P63/G-5)

水俣方面に連絡するR268との交差点を直進すると、奇麗な舗装の広々とした道に出てくる。実はこの場所がかつての薩摩大口駅の跡地。ここから南北に走る道は線路跡に作られたもので、周辺には貨車や転輪などが展示してあり、ここが鉄道ゆかりの道である事を示してくれている。

交番の向かいにあるモダンな建物が駅舎の跡に立てられた施設で、図書館やホールを備えた交流センター(正式名は失念)。上階には宮之城線や山野線にかかわる貴重な資料を多数集めた展示室があるので、鉄道に興味ある方は訪れてみるのもいい。確か入場料はタダだった筈だ。

このセンターのある交差点を左に折れ、すぐ次を右とクランク状に折れると、R267の久七峠まではもうすぐ。一部をのぞいて見晴らしのいい直線路がしばらく続く。


久七トンネル突入

久七トンネル入り口

見通しのいい道を5,6キロメートルも走ると、登坂車線のある幅広の坂道になる。この場所で作者はこういう複数車線に慣れていないであろうオバチャンドライバーが、センターラインを見間違ってか真っ正面から逆走してくるのを何度か経験しているので、道がいいからと言ってあまり飛ばさない方がいいだろう。

(九州:P63/H-4)

ところで先ほどから道の周囲の立木やガードレールには「買い物は大口市内でしましょう」と書いたカラフルなのぼりがいっぱい立ててある。お隣の人吉市の方がスーパーやディスカウントストアも多く、公衆温泉の数では比較にすらならない。JRの駅はもちろん、高速のインターも街中にあっていろいろ便利だから、今回の久七トンネルの完成は通勤・観光の自家用車、トラックドライバーには朗報だったろうが、地元の生産者にとってはちょいと深刻な問題なのかもしれない。

さて、いよいよトンネルの入り口が見えてきた。看板によると全長は3,945メートルとけっこう長い。トンネル手前で左に分岐している細い道が峠部分に向かう旧道になるのだろう。

路肩からBandit250をゆっくり発進させ、まだコンクリの養生臭が残る真新しいトンネル内に突入していく。さあ、久七トンネルの走り初めといこうか。