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シボレー FDB206・ペダルに関する記録

目次

右側ペダルが破損 2006年12月17日

分解したペダル

ここ1、2週間ほど、右側のペダルを踏み込むたび大きめのガタが出ているのが気になっていました。ペダルの回転軸は今年9月に行った開聞岳キャンプのすぐ後に分解整備して以来、一度も開けていません。

「たぶん振動でロックナットが緩んだのだろう。グリスの詰め替えついでに締め直しておこうかな」と、ごく軽い気持ちでペダルをバラしてみたところ・・。


玉受けの底が抜けるように割れている

なんとペダルの外側にあたるベアリングの玉受けが弧を描いて割れているではないですか! 前回の組み付け方がうまくなかったのか、それとも品質の問題か・・念のため左側も開けてみましたが異常なしでした。両側ともグリスはまだ残っていたので潤滑不足で破損したわけでもなさそうです。

作者は利き足の右でより強く踏み込んだり、歩道の段差などでサドルから腰を浮かす時に無意識に右足を軸にする癖があるので、もしかしたらその影響なのかもしれません。さらにこのタイプのペダルは折りたたみ式という構造上、シャフトの長さが通常のペダルの半分しかなく、回転部に無理な応力がかかっていたはずです。

いずれにせよ、もはやこの右ペダルは使用不可能。とりあえず手持ちの中古ペダルを代用として装着しておきました。左右の種類が異なると乗っていて気持ち悪いので左側もいっしょに交換。

ちなみに今年の春にFDB206が作者の手元に来て以降、今回のペダル破損まで4,000キロ弱を後にしています。それ以前の使用状況はちょっと不明ですが、前オーナーの趣味嗜好や、最初についていた純正タイヤのミゾがほとんど減っていなかった事から推し量るに、新車購入時からでもトータル5,000キロはまだ行っていないだろうと思われます。


振動が消えた

このFDB206は後部に6段変速ギアを持っていますが、乗り始めた当初から、4速(重い方から3つ目)で走っている時のみペダルを回す度にわずかな振動が伝わって来るというクセがありました。

振動と言っても毎日乗っている者しか気付かないくらいの小さなもので、チェーンとギアの噛み合わせが微妙にズレてコツコツと不定期に擦れあい、それがチェーンやクランクを介して靴底から足に伝わってくる、といったようなイメージです。

他のギア位置ではまったく出ないため、たぶん4速ギアの歯とチェーンの間隔の相性がわずかに合っていないのだろう、安いパーツだしこの程度はしょうがないな・・という程度にしか考えていませんでした。

しかし今回ペダルを交換したところ、なぜかこの振動がピタリとやんだのです。振動は4速ギアの位置でしか出なかったのですから、主な要因がペダルにない事は明らか。でもペダル交換したら振動が消えた・・なぜでしょう?

これは推測ですが、今まで感じていた振動とは、あまり精度がよくないであろう安価なギアとチェーン、そしてペダルのベアリング部などが互いに影響しあい、1回転あたりに発生するそれぞれの振動が共振を引き起こしていたためではないでしょうか? そのうちのひとつであったペダルの要素がなくなった(あるいは成分が変わった?)ため、体感出来る振動として現れなくなっただけかもしれません。事実このような共振による異音や振動は、走行中の車やオートバイでも時々見られる現象です。

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ペダルをFD-6に交換 2007年7月1日

銀色に輝く折りたたみペダル

フォールディングバイク用のペダルとしては定番とも言えるMKSの折りたたみ式軽合金ペダルFD-6を買いました。FDB206純正ペダルは例の黒くて大きな樹脂製で、片方の重さが205グラムありましたが、このFD-6は軽合金ボディでほとんど同じ210グラムに収まっています。

通常のペダルに比べてシャフトの露出部分が短く、クランクアームとペダル本体がうんと接近するような作りになっているため、脱着工程では通常のペダルスパナではなく、8ミリアーレンキー(六角レンチ)を、シャフト中心の六角穴に突っ込んで回すようになっています。パッケージには脱着用のアーレンキーも同梱されていました。


まん中のボタンを押せばたためる

中央のボタンを奥まで押せばロックが外れ、ペダル踏面をどちら側にでも倒せるようになっています。復帰させる時はそのまま起こすだけでパチンと再ロックされます。

ただし機構的にガタが出るのは避けられないようで、ペダルを蹴って勢いよく回すと、カタタタタ・・と金属パーツがブレる音が響きます。漕いでいる時(圧力がかかっている時)にはガタは感じません。

折りたたんだ時の出っぱり具合は純正ペダルとほどんと同じですが、折りたたみの支点が奥の方にあるせいか、小さくまとまっているように感じられます。

走行感はスムーズで快適、強度不足感も特になく、問題なしです。FD-6は靴底が滑りやすいという話をどこかで聞きましたが、作者には特に感じられませんでした。

あと、厚さが約25ミリと純正ペダルよりも8ミリ近く薄いので、サドル位置の再調整が必要かと思います。

ちなみにFD-6の前後にある反射板の取り付け穴のピッチは、偶然にもスポーツ用ペダルのトゥークリップ取り付け穴とほぼ同じ。これを利用してハーフクリップなどを追加している人もいるようです。


左側ペダルの異音と給脂(300キロ走行後) 2007年7月22日

下死点あたりで異音が出る

FD-6を使い始めてまだ1ヶ月経ちませんが、左側のペダルから異音が目立つようになってきました。具体的には、ペダルを踏み込んで一番低い下死点付近に来た瞬間、コキッとかカクッといった感じで靴底に響くようなクリック感が出ます。

ペダルを回さずに足首だけ前後に傾けると、ペダルの位置に関わらず問題のカクカク感が出る事から、プレートの前後方向のガタが原因のように思われました。折りたたみ式ペダルはボディとプレートの間にわずかなすき間があるため、どうしてもガタがあります。しかしながら左右ペダルのガタ量はほとんど同じなのに、走行中にカクカク感じるのは左側だけ。作者の踏み方にクセがあるせいかもしれませんが、このままではちょっと気持ち悪いです。


支点につまようじでグリスを給脂

あれこれ試してみた結果、プレートの折りたたみ支点にグリスを少量詰め込む事でカクカク感は消えました。フレームの折りたたみ部分から異音が出た時もこの方法で消える事が多いですし、たぶん工作精度の微妙な差による影響だったのでしょう。


FD-6は分解不能?

ところで今回、いささか重大な事実に気付いてしまいました。FD-6にはネジの類が一本も使われておらず、唯一折りたたみの支点に2本のピンが圧入してあるのみで、どうやら簡単に分解組み立てが出来ないようです。このまま長く使っていて、もしベアリングにゴミでも入った場合はちょっと困った事になるかもしれません。

2010年7月19日追記 FD-6の軸受け分解整備はメーカーに送り返す必要があり、個人レベルではほぼ無理との事。グリスの寿命は5,000〜7,000キロ程度で、化粧品店で売られている注射器様の器具ですき間からグリスを注入してしのいでいる人もおられるようです。(情報提供・solaさん)

2012年3月14日追記 内部のベアリングは、軸のすき間からわずかに見える限りシールドタイプではなくオープン型ベアリングのようです。(情報提供・h@nzoさん)

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FD-6ペダルのオーバーホール 2014年5月3日

バラバラにされたFD-6

熊本で行われた全日本モトクロスの観戦で、会場内の移動用としてFDB206を持ち込んだのですが、前日の雨でぬかるんだ泥がペダルの可動部の隙間に詰まってしまったらしく、折りたたむ時の動きがやたらと渋くなってしまいました。

帰宅後にスプレー式のパーツクリーナーで軽く洗い、折りたたみ部の動きは軽くなったものの、この時ベアリングのグリスもいっしょに流れてしまったみたいで、今度はペダルの回転に許容し難いザラつきが出るようになりました。

このFD-6ペダルは圧入ピンによって固定されているため、完全分解を伴うオーバーホールには今まで手を出していませんでした(メーカーも推奨していません)。しかしこうなった以上、選択肢はバラすか買い替えるかしかありません・・というわけで、ダメ元でオーバーホールに挑戦してみる事にしました。

参考リンク・はいぽ工房・MKS折りたたみペダルFD-6分解修理


ピンを抜く

ピンに六角レンチを当てて叩く

FD-6の固定に使われているのはスプリングピンと呼ばれるもので、全長にわたって切れ目がまっすぐ入った、シンプルな金属製の細い円筒です(モノによってはギザギザ状の切れ目のタイプもあります)。切れ目がある事でバネのように直径が伸縮し、穴の内側にピタリと食いつく仕組みです。

これを抜くにはピンポンチという専用の押し出し工具を使うのが本当ですが、とりあえず有り合わせで使えそうなものを探した結果、工具箱の隅にあった2.5ミリの古い六角レンチが太さ的にちょうどいい感じでしたので、これでやってみる事にしました。

ペダルの下に大きめのナットを敷き、中央の穴からピンがうまく下に抜けるようにあてがって、ピンにまっすぐ立てた六角レンチの上からハンマーで軽く、かつ慎重にコツコツと叩くと、少しずつですがピンが沈んでゆきます。斜めになって周囲を傷つけないよう、まっすぐにコツコツ叩くこと数分間、なんとかピンを抜き取る事に成功しました。


抜けたスプリングピン

抜いた後で測ってみたら、ピンは太さ3.15ミリ、長さ22.3ミリでした。


叩いた側の先端はどうしてもわずかにつぶれますから、マジックで印をつけるなどして、その方向をちゃんと覚えておいて下さい。再度打ち込む時に同じ向きで入れるためです。

シャフトの分解

ピンさえ抜ければ後は簡単。各パーツを分離し、ベアリングのあるシャフトの分解にかかります。

シャフトの六角ナット

ベアリングの構造はごく一般的なカップ&コーン式ですが、ゴムシールの類は備わっておらず、プッシュボタンの隙間からベアリング部分はほぼ貫通状態です。これではグリスが流れてしまうのも無理ありません。いくら泥が詰まったからといって、洗浄スプレーの類をここに吹きつけるのは絶対ダメですね。


ソケットレンチで回す

まずシャフトを8ミリの六角レンチで固定しておき、12ミリのソケットレンチを使ってロックナットを抜きます。ここのネジは左右ペダルとも正ネジなので、反時計回し方向でゆるみます。


内側の玉押しは13ミリのソケットで

外側のロックナットが抜けたら、シャフトの平面部分にピッタリはまる形状をした回り止めワッシャーをラジオペンチかピンセットでつまんで外し、そして最後に13ミリのソケットで玉押しを抜きます。このさいベアリングの小さな鋼球が周囲にこぼれ落ちないように注意。


内側の玉押しよりも外側のロックナットの六角サイズが小さいのは、組み立てた後で外側から玉押しを調整しやすくするためです。

洗浄

分解した各パーツ

各パーツをなくさないよう注意しながら、歯ブラシや灯油等出来れいに洗浄します。

ベアリングの鋼球は内外とも各12個ずつで、直径は1/8インチ(3.175ミリ)でした。


鋼球を灯油で洗う
各パーツも念入りに洗う

シャフトの組み立て

グリスを塗って鋼球を12個並べる

まずはクランク側からやります。玉受けにグリスを多めに塗り、鋼球を貼り付けるようにして並べてゆきます。12個揃ったらグリスを上から軽くもう一塗りし、シャフトを差し込んで押さえます。


シャフトを挿入
鋼球をシャフトの隙間に落とし、後で整列させる

ひっくり返して、今度は外側の鋼球を入れます。狭くて指が入りませんが、シャフトとの隙間に落とすように鋼球を入れ、後で整列させれば大丈夫です。その後つまようじ等を使ってグリスを押し込みます。


玉押しをねじ込む

玉押しを上からねじ込みます。


回り止めワッシャーを挿入

そして回り止めワッシャーを落とし、上からロックナットをねじ込みます。

玉押しとロックナットの中間に挟まる形になる回り止めワッシャーは、調整作業において重要な働きをします。これがシャフトに設けられた平面部分にひっかかり、ロックナットを締め込む際の回転が玉押し側に伝わる事なく、調整量をずらさないまま締込み固定が可能になるのです。


ベアリングの玉当たり調整

ペダルの調整は回り止めワッシャーの存在が重要

まず13ミリのソケットを使って、奥にある玉押しを時計回しに軽く締め、止まった所から6分の1〜4分の1回転ほど戻します。つまり、この時点では若干ガタが残る程度に調整しておきます。


ペダルの調整は回り止めワッシャーの存在が重要

次に12ミリのソケットで上側のロックナットを締め付けます。この時の圧力で玉押し本体がわずかに内側に押されるので、ガタ調整がちょうどよくなります。つまり前もって押される分を加味しておくわけです。

ただし、回り止めワッシャーとシャフトの平面部分の間にわずかに隙間があるため、微妙に共回りしてしまうのは避けられません。最初の戻し量を加減するなどして、うまく行くまで何度か繰り返します。


作者の経験上、この段階でベアリングにガタが出ないギリギリのスムーズさにまで追い込むと、いざクランクに取り付けて足で強く踏んだ時に微妙なガタが出てくる事がありますから、指で回してやや粘りを感じるくらいのレベルにしておくのがベストだと思います。

ボディの組み立て

ボディをセットする方向が決まっている

折りたたみ機構を司るヒンジ部分は差し込む向きが決まっているので注意です。写真のように厚みの薄い側に、丸パーツの角がある側を持ってきます。

これが逆でも一応組み立ては出来ますが、一方向にしか曲げられなくなってしまいます。


スプリングピンの切れ目を45度内側に向ける

パーツを元通り組み上げたら、スプリングピンを打ち込みます。ピンにも薄くグリスを塗っておきます。

分解前に確認した時、ピンの切れ目は4カ所とも内側45度の方向に向いていました。理由はわかりません(たまたまそうなっていただけかもです)が、念のため同じ向きに合わせておきました。


ピンに板を乗せて叩く

ピンが傷つかないように当て木をし、最初に抜いた時と同じ向きで、まっすぐ、ゆっくりと慎重に打ち込みます。


ピンの脱落防止対策

ワイヤーロック

今回は正規の工具を使わず、しかも打ち抜いたピンを再利用しましたが、通常スプリングピンは再利用はしないものです。おそらく圧入の摩擦力は抜く前よりも弱まっているでしょう。もし走行中にこのピンが2本とも抜け落ちたら、ペダルがバラけてしまいます。

もっともペダルを踏む力が直接ここにかかるわけではないし、振動等を考えてもそう簡単に抜け落ちたりはしないでしょうけど、ちょっと無理に叩いちゃったからユルユルになってないか心配だなぁ・・という人は、脱落防止策として細い針金を通してねじって留めておけば安心です。

針金を内側に回すと、折りたたむ際に角の部分がクランクと干渉してしまうので、なるべく外側に回したほうがいいようです。


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