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タンクキャップの分解・掃除

まな板の上のタンクキャップ

ガソリンタンクのキャップを取り外して分解掃除した事のある方って、どれくらいいるでしょう?

どちらかというと地味なパーツなので、あまり気にする機会はないと思います。しかしこれは単なる鍵付きのフタではありません。場合によってはエンジンの動きに大きく影響する事もあるのです。

燃料タンクのような密閉された容器から液体をスムーズに流すには、出すのと同じ体積の空気を上から入れてやる必要があります。このエア抜き機構はタンクキャップに設けられているのですが、ここが少しでも詰まるとガソリンの流出速度が遅くなり、高回転での頭打ちやパワーダウンなどの症状が出ます。ひどい場合には走行中にエンジンが停止してしまう事もあって、おろそかには出来ない大事なパーツなんです。


必要なもの

4ミリの六角レンチ
タンクキャップのワク用。シートの下にあるやつでOK。
ガムテープ
作業をしている間にタンク内にゴミが入らないよう、これでフタしておきます。
プラスドライバー
タンクキャップの分解用。タンクキャップ自体は2本のネジのみで固定されています。
その他
クリーナーやグリス、ウエス、ピンセットなど。細かい部品を転がして無くさないよう、必ず広いタオルを敷いた上で作業しましょう。

分解手順

4箇所のネジを抜き 必ずガムテでフタを あとは室内で作業

まず4ミリの六角レンチでタンクキャップのワクを外します。見た目は8つありますが、実際にキャップビスが入っているのは4本のみ。作業中は必ずガムテープで給油口を塞いでおきます。

ガムテープはゴミの侵入やパーツ落下を防ぐため。もしタンク内にポロッとネジでも落としたら・・あまり考えたくないですよね?

キャップ部の底にある排水穴

タンクキャップ部分の排水穴

タンクキャップを開けると、フチ周りの左側に小さな穴が開いていますが、これは雨水やあふれたガソリンを抜くための排水穴です。穴が左側にあるのはサイドスタンドで傾けた状態で効率よく排水させるためでしょう。これをタンク内のエア抜き穴だと勘違いしている人が意外に多いようですが、タンクキャップ上面と丸いワクの間にはけっこう大きめのすき間があり、エアはここから自由に出入りしています。

しかしこの排水穴が詰まると雨水が溢れてタンク内に混入するなど悪影響がありますので、キャップ掃除をやるついでに掃除しておいた方がいいですね。


上下の分割 極小ボールに注意 ゆっくり持ち上げる

底にある2本のプラスネジを抜いたら、上下が分割出来ます。

ここで注意すべきは、キーカバーのヒンジ部分の根本にクリック感を出すための小さなスチールボールとスプリングが仕込まれている事。何も考えず引き抜いたら、間違いなくバラけて行方不明になります。部品が跳ねないよう、バスタオルの上でそうっとやりましょう。

ピンを抜き 揃えて保管

キーカバーのヒンジは片方のピンを抜けば外れます。細かいのでピンセットを使いましょう。外せたらスプリングやスチールボールと一緒に並べて管理しておきます。

ボールの代用品

デフボールとの比較 一袋にいっぱい

このスチールボール、分解中ついうっかり無くしてしまう場合もありますが、そんな時はラジコンカー用のデフボール(デフギヤー部分に使われる小さな鋼球)で代用出来ます。厳密にはデフ用の方が微妙に直径が大きいようですが、ご覧の通り肉眼でもほとんど区別がつかないレベルで支障はありません。

デフボールはメーカーや車種によって大きさの違いがあります。国産の代表、田宮模型のF1に使われる3mmや外国製キットによくある1/8インチ(3.175mm)が使えますが、最近主流の3/32インチでは小さすぎ。通常は一袋20数個入りで100円から200円程度ですが、中には競技用の高精度なボールもあって値段が10倍以上はしますので、そんなの買わなくてもイイです。

キャップの底部 固定ツメ部分 並べて保管

下部の外殻パーツは底にロック用のツメが仕込まれています。これはプレートを外して、ツメを内側に押すようにすればポロッと簡単に外せます。スプリングを弾いて飛ばさないように注意しましょう。

外周にあるゴムのリングははめ込んであるだけです。

ツメは大きさが違う

ツメの大きさの差

キャップを固定する2本のツメは組み間違いを防止するために長さや幅が違わせてあり、大きい方は小さい方の穴には入らないようになっています。


エア抜きの経路

エア抜き経路はかなり複雑です。これは外部からの雨水やゴミがタンク内に入らないようにするのと、転倒時に簡単に漏れ出さないようにするためでしょう。

横穴

まずここです。外殻の上端、ゴムリングに半分隠れるように穴が開いています。外殻と内部にはわずかなすき間があって、空気が流れるようになっています。


下部の2つの穴

最下部にある2つの穴もエア抜きです。おそらくこちらがメインでしょう。ツメの真下に位置していますが、ツメにもちゃんとエアが抜けやすいようにくぼみが設けられています。ここからツメのお尻(スプリング側)に通っています。


仕切り板の2つの穴

ツメを押さえている仕切り板にもちゃんとエア抜き用と思われる穴が2箇所あります。中央の丸い穴にはキーシリンダー下端が入ります。


ブロックの2つの穴

キーシリンダー・ブロックにある2箇所の穴。左の穴の中にはさらに小さな穴が2つ開いており、キャブのジェットのような作りになっています。右側は奥にフィルター状のスポンジ?が入っています。なぜ同じ経路上でこのような差が作られているのかはわかりません。あるいは片方のカバーが脱落・紛失しているだけかもしれませんが。

左側の穴は途中でいちばん上の写真のサイド穴とも繋がっており、覗くと横からの光が見えます。


ブロック上面

2箇所の穴を上から見るとこうなっています。この部分は上からゴムパッキンがかぶり、密閉された小さなチャンバーになっているようです。空気の流れに余裕を持たせるためでしょうか?


ゴムパッキンの穴

チャンバーの天井部にあたるゴムパッキンには2つの穴。ここからいったん上に抜け、チャンバーの壁を越える細いミゾを通って、外側の穴から下側に戻っています。


外周にあるミゾ

ゴムパッキン外側の穴から外周のミゾをぐるっと半周まわり、最後にキーカバー右側のプレート下側にある切り欠きから外部の大気と繋がっています。


ゴムパッキンの裏側も 金具を外して 掃除しましょう

よくある例として「雨中走行や洗車した後、エンジンの回りが悪くなった・かかりにくくなった」というものですが、これはおそらくキーホールあたりのすき間から内部に水が侵入し、この経路のどこかに水たまりを作ってエア抜けが悪くなるせいでしょう。そんな場合は乾燥させるだけで直るかもしれませんが、細かい砂など汚れ分が流れ込んでいたり、素材のアルミサビが出ている可能性もあるので、この症状が頻繁に起きる場合は分解掃除が必要ですね。

時間をかけて、細かい経路を順番に念入りに掃除しましょう。ゴムパッキンは傷つけないように注意。

組み立て

つまようじで注油 ボールにも塗る

組み立てるときは可動部分にグリス注油をしておきます。スチールボールやスプリング類は少し多めにグリスを塗ってはめ込んでおけば、組み立て時に傾けてもこぼれ落ちるのを防げます。

キーシリンダーやエア抜き部分にゴムパッキンを使っていますから、CRC556は使わない方がいいです。エンジンオイルの余りを少し塗るだけでも充分です。

横向きや逆向きは不可

横向きには付きません

ちょっと他の人と差をつけてみようかなと思い、タンクキャップの向きを変えてみましたが、給油口が外周と同心円上にないのでツメがロック出来なかったり、タンク側にある突起が邪魔になって、結局ダメでした。まぁノーマルの手前開きが一番開閉しやすいですけどね・・。