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キャブの同調とゲージの自作

キャブレター

Bandit250は4気筒エンジンで、同じくキャブレターも4個あります。1個1個が独立したキャブですから、エンジンをちゃんと動かすためには各々を微調整し、動きをきっちり揃えてやる必要があります。キャブ整備でよく言われる同調とは、簡単に言えばこういう事です。

同調がズレていると、回転がうまく上がらなかったり、アイドリングの回転数が不安定に上下したり、特定のシリンダーがサボって点火しなかったりします。キャブを車体から降ろして分解掃除などをやると、特に同調調整ネジをいじらなくても微妙にズレが出て来ますし、調整なしで長く乗っている車体などもけっこうズレているもの。

しかし同調を合わせるにはバキュームゲージと呼ばれる専用の測定器が必要で、買えば万単位の出費。年に何回も使わないような道具に、出来れば大きな出費は避けたいところですが・・。

その昔まだパソコン通信が全盛だった頃、ニフティー・サーブという大型サイトに、バイク好きな人たちのフォーラム(会議室)がいくつかありました。その中のひとつ、FBIKEの掲示板にバキュームゲージを自作する話題が出た事があります。今回の作業を前にふとその事を思い出し、懐かしいフロッピーディスクに保存してあったログを参考に作ってみたのが、今回の簡易型バキュームゲージです。


必要なもの

負圧計(VacuumGauge) 1個
その名のとおり空気の圧力が下がる度合いをメーターで示してくれるものです。バイク用の4連バキュームゲージではこれが4つ並んでいますが、ここでは1個だけ使います。パーツメーカーで4連ゲージの補修部品としてバラ売りしているもので1個3,000円ほどでした。
ホース、分割バルブ
ホームセンターの熱帯魚コーナーに行けば1,000円くらいで揃います。
ジョイントパーツ、シールテープ
金魚用のホースは細いので、負圧計にそのまま差し込めない事もあります。ジョイントパーツはコンプレッサー工具などを売っている所にあります。
細めのマイナスドライバー
キャブの同調スクリューを調整するのに使います。長さは20センチもあればいいですが、場所が狭いのでシャフトが細いものの方が作業しやすいです。
オイル差し
100円くらいで売ってます。タンクを外した状態でエンジンをかけるため、これにガソリンを入れてタンク代わりにします。
10ミリのボックスレンチ
タンクを降ろすときに使います。
4ミリの六角レンチ
サイドカバーを外す用。シートの下にあるやつでいいです。
その他
ニッパーやカッター、プラスドライバー、ラジオペンチなど。

ゲージの製作

全体図

各パーツが揃ったら、この図のように組み立てます。


パーツ類
パーツ一式

ねじ込むパーツは空気漏れしないよう、白いシールテープをきっちり巻きましょう。


水道用シールテープ
アダプター
配管
全体図

完成したら、さっそく同調作業をやってみましょう。


2011年9月7日追記 この記事を書いた頃(2001年)と較べて特殊工具の価格もずいぶん下がり、4連ゲージも手に入りやすくなりました。こんなセコい工作をするよりはそっちを買った方が後々お得かもしれません。

同調の準備

給油とエア止め

まずはタンクを降ろします。エアクリーナーやボックスはそのまま。

燃料コックから抜いたガソリンホースに、ガソリンを入れたオイル差しを差し込みます。これが同調作業のあいだ、エンジンを動かす燃料になります。ガソリンが出やすいよう、オイル差しの底の角には空気抜き用の穴を開けておいてください。

細い方の負圧ホースにはプラスドライバーを突っ込んで、空気が入って行かないようにしておきます。


ホースを負圧取り出し口に接続

キャブの上の黒いフタについているゴム製の小さなキャップを抜いて、自作したゲージのホースをそれぞれ4本とも差し込みます。ここも空気漏れがないよう、しっかり差し込んでください。


同調の手順

2と3の間の調整ネジ

同調の原理そのものは、わりかし単純です。

隣り合ったキャブ同志の、バタフライの回転シャフトを接続している部分に調整用のプラスネジがあって、それぞれ1と2、2と3、3と4の間の3箇所に設けられています。

このネジを回すと、両側のバタフライが反対方向に動き、相対位置が変化します。これを使ってキャブ内の空気の流れ(負圧)を微調整し、最終的に4つとも一致(同調)させるわけです。


全体図

エンジンを始動して、通常よりややアイドリングスクリューを上げ(おおむね3,000rpm前後)、あとは下記の手順通り、負圧計の指針を合わせつつ順番に調整していきます。


1番と2番を合わせる

負圧調整図解

1番と2番それぞれの負圧の数値を、バルブのレバーを片側ずつ切り替えて読みます。

そして中間にある調整ネジAを回し、両方の負圧の数値が同じになるように合わせます。

この間、3番と4番につながる側のバルブは完全に閉じておきます。


3番と4番を合わせる

負圧調整図解

同じようにして、3番と4番の負圧が同じになるように合わせます(数値は1番2番と同じでなくてもOKです)。

この間、1番と2番につながる側のバルブは完全に閉じておきます。


2番と3番を合わせる

負圧調整図解

最後に、中央にある調整ネジCで、2番と3番を合わせます。

1番、4番のバルブは完全に閉じておきます。

これで4つとも同じ値に揃った事になり、同調は完了です。念のためもう1,2回は再チェックしてください。その前にゲージのバルブを全部閉めて、エンジンを軽く空吹かしして、バタフライやピストンの動きを馴染ませてからやるのがいいです。たいていは1回目よりも微妙にずれてきます。

調整時は各バルブのレバーを開けたり閉めたりして、順序よく作業してください。調整している部分以外へのバルブはきちんと閉めておかないと正しい値が測れなくなります。


ダンパーレバーで針のブレを低減

ダンパーレバー

エンジンの吸気は断続的ですので、そのままだと負圧計の指針が激しくブレて値が読みとれません。そこでメーター直下にあるレバーを少し絞る事によって、ブレを押さえる事が出来ます。ただし絞りすぎると針が動かなくなります。

専用のバキュームゲージにも同様の効果を持つダンパー、レギュレータという調整ダイヤルがあって針のブレを押さえるようになっており、それを模したものです。

以上、ちょっとばかり操作が面倒くさいですが、元手が安く上がっているぶん、仕方ないなと諦めてください(笑)。


見えにくい同調ネジ

調整ネジを横から見る

実際にやってみるとわかりますが、中央の2〜3番間の調整ネジは回しやすいのに、左の1〜2番間と右の3〜4番間のネジは奥に隠れているため、上から覗き込んでもネジ頭が半分くらいしか見えません。ドライバーの先端で探るようにしながら、あせらずゆっくり作業しましょう。

普通サイズのドライバーだとキャブを連結しているバーが邪魔して奥を探りにくいので、ここではシャフトが細めのドライバーがいいです。それと調整ネジはプラスネジですが、大きな回転力は必要ありませんから、幅の狭いマイナスドライバーの方が融通が利いて作業しやすい印象です。

あと1〜2番を調整する時は、セカンドエアクリーナーの固定を外して持ち上げておいた方が楽です。


目視で合わせる方法

板をまっすぐに

どうしてもゲージが手に入らない場合は、キャブ内部のバタフライ(アクセルを回すと動く丸い板)を全開にした状態で、板が一直線に見えるよう目視で合わせておけば、とりあえず大きくズレる事はないです。でも個々のパーツのクセなどによって若干のズレは残るかもしれません。気になるならバイク屋さんに持ち込んで調整して貰いましょう。