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ボルト折れの対処について

折れたボルト。ショック!

いくら頑張っても固く締まったボルトが回らず、ポッキリ折れてしまったという経験はありませんか? 例えばマフラーの脱着でエキパイのキャップボルトが固着していて、四苦八苦しているうちにとうとう折れてしまった・・など、メンテ中の精神的ヘコミ度の高いトラブルとしては、かなりの上位ランクでしょう・・。

修復するには電気ドリルやタップなど、それなりの道具と手間が必要になります。しかし場所によっては再起不能のダメージが残ってしまう可能性もありますから、自信のない人は無理してやらない方が賢明でしょう。

その点、プロのバイク屋さんならこの手の作業は日常的に経験しているはずですし、いろんな道具はもちろん技術も持っていますので、素直にお店に依頼した方がいいかもしれません。


これ以降の内容には後戻りできない部分も含まれますので、その辺を十分認識された上で、あくまで作業者の責任において行ってください。「書いてある通りやったのに失敗してエンジンがダメになったじゃないか!」と言われても、こちらでは責任はいっさい持てませんので悪しからず。やる前にはDIYの心得と注意も必ず読みましょう。

目次

どうにかして回す

エキストラクター(逆タップ)を使う

逆タップとハンドル

残ったボルトを抜くためのエキストラクターという工具があります。通常のネジとは逆向きの左回転で食い込んでゆく特殊ならせんが切ってあるもので、逆タップとも呼ばれます。

力を入れて回す必要があるので、タップ用のハンドルといっしょに使います。


正確に中心を決め

まず折れ残ったボルトの中心に正確にマーキング。


小さな穴を開けて

次に、エキストラクターを入れるための小さな穴を、折れ残ったボルトの真ん中にまっすぐ開けます。


こう上手く抜けるといいのですが

そしてエキストラクターを突っ込み、タップハンドルで押し付けつつ反時計回りにグイグイ回し、ボルトの残骸を抜き取ろう、というわけです。

但しこれには欠点もあって、抜く途中で折れたボルトにはあまり効果的ではないのです。つまり元々のボルトが固着するなどして、回転力に耐えきれず折れてしまっている訳ですから、これをもう一度同じように正攻法で回そうとしても、果たしてうまくいくかどうか・・。

CRC556をたっぷり吹いて一晩置いたり、ガスバーナーであぶって膨張させるなどしても、shun(作者)の仕事上の経験からも成功率は半々と言った所です。

それと作業中にエキストラクターが折損する事もままあります。ほぼ消耗品ですから、外見は異常なくても何度か繰り返し使ったものは、金属疲労で折れる前に新品に替えておいた方がいいでしょう。しかも普通のドリルやタップと同じく工具用の硬い金属で作られていますので、もし中で折れ残ってしまったら、取り出すのはボルト除去以上に至難の業となります。

これ以外では折れ残ったボルトの頭に鉄ノコでミゾを切ってマイナスドライバーの要領で回したり、頭に別の金属棒やナットを溶接して回すという方法もありますが、溶接作業は個人レベルではむつかしいでしょう。


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新しいネジ穴を作り直す

残ったボルトもろともドリルでさらってしまい、ワンサイズ大きなタップを使ってネジ穴を切り直すというもの。ダイレクトにネジを切る方法と、リコイルやヘリサート、エンザートナットなど特殊なビットを挿入・施工する方法があります。今回はshun(作者)のBandit250のエキパイボルトを例に、道具の揃いやすかった前者の方法でやってみました。

タップ立ての道具

使用するタップは先、中(なか)、上げの3本セットのものがいいです。ホームセンターで1本300円くらいで売っているような中タップ1本のみのセットでは、小さな径のボルトならともかくM8のサイズは一発で仕上げるのが難しく、重要な部分では使わない方がいいと思います。タップの使い方は特に書きませんが、やる方はそれなりに調べたり、別の部材で十分練習してからやった方がいいでしょう。

ダイレクトに切り直す方法では、元々のサイズよりも大きいネジ穴にする必要がありますから、M6サイズのエキパイボルトではひとつ上のM7といきたい所ですが、なぜかJIS規格としてはほとんどボルトや工具が流通していませんので、必然的に外形8ミリのM8ボルトになります。この上はまたM9ではなくM10が一般的なので、もしM8加工に失敗したら次はM10・・しかしBandit側のエンジンブロックは肉厚的にも余裕がありません、よってM8加工に失敗は許されません。


下穴を開けて

M8のタップを切るための下穴は直径6.8ミリ。いきなりこのサイズのドリルを突っ込んでもまず失敗しますから、細いドリルを使って小さい穴を順に開けてゆき、しだいに広げて、最後に6.8ミリまで広げるようにします。

隣近所の穴に長めのボルトを入れておき、横から見てそれらと比較しながらドリルの垂直度をはかりつつ、慎重に開けます。

まっすぐ入れる事も重要ですが、それ以上に注意すべきは穴の深さで、他の健康なネジ穴を使って深さを前もってチェックしておき、絶対それ以上に穴が深まらないようにします。さもないと内壁を突き破ってしまいかねませんので、作業は慎重に。ドリルの途中にテープを巻いておき、深さの下限の目印にしておけば、まずは安全。


タップを立てる

タップは穴にそってすんなり切れてゆくわけではありません。これもきちんとまっすぐ入れないと、ネジが斜めに切れて穴をダメにしてしまう場合があります。


アンバランスですが完成

一カ所だけ大きな六角ボルトになって、見た目は少々よくないですが、無事に作業終了!ほっと一息・・。

ちなみにエキパイ側のホルダーの穴も、太くなったボルトが入るようリーマで拡大しておく必要があります。


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折れ残ったボルトに小さなネジを切る

エキパイ

折れ残ったM6のボルトにM4を切る

これはshun(作者)が上記のM8を開ける前に応急的にやっていた方法で、残ったボルトの中心に小さな穴(3.3ミリ)を開け、M6より小さいM4のタップを切り、細いボルトで仮固定する、というもの。

M8ボルトと比較するとまるでつまようじみたいに細いM4サイズのボルトでも、意外に持ちこたえてくれました。ただし周辺のススの付き具合から見ると、排気漏れはそれなりにあったようです。


セルモーター

折れていたセルモーター基部のボルト

この写真はセルモーターの固定ボルト部分。Bandit250を中古で購入した時、すでにここの後ろ側が折れていました。たぶん前のオーナーがやったと思われます。しかも逆タップか何かを試みた形跡があり、中心からやや外れた穴が深めに開けてありました。

ここもサイズはM6なのですが、セルモーター側のステー穴にはM8サイズのボルトを、それも中心をややそれた位置で受け止められるような余裕がありません。健康な方の穴も多少広げてやればいけるかもしれませんが、それだとセルモーターの回転軸が若干変わる事になり、エンジンのスタータリングギアとのバックラッシュ(歯車どうしのすき間)に影響が出るおそれがあります。


M5のタップを立てる

結局、今開いている古い穴を下穴の案内として使い、やや拡大(4.2ミリ)してM6より1つ小さいM5x0.8(外形5ミリ)のタップを立てて、M5のボルトで固定する事にしました。


アンバランスですが完成

この直下はミッションケースですので、深さには十分気を付けて穴加工します。古いボルトの一部が残留したままですが、無理に取り出すのは難しいと判断しました。


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折れ残ったボルトをドリルで除去する

これはキユサさんに教えて貰った方法です。例えばM6サイズの場合、折れ残ったボルトに一回り細い5.5ミリのドリルを中心にそってまっすぐ貫通させると、中のボルトがバリバリと砕けてきれいに取り出せる・・というもの。

その後、M6のタップでネジ山をクリーンにすれば以前と同じように使えるようになる・・というわけでshun(作者)も試してみたのですが、最初の段階でドリリングの中心がきちっと出せていなかったのか、オリジナルのネジ山を微妙に削ってしまい、その後M6のタップを通してはみましたが、結局使用に耐えられそうなのは半分もなく、失敗に終わりました。これは熟練者向けの手段のようです。

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